79 / 95

迫る真実 2

いきなり浴衣を乱して悪かったな、ときっちりと直して、申し訳なさそうに眉を下げていた。 「あ、ううん。気にしないで。それよりも、僕のこの辺に刺青? あったの?」 「·····ああ。多分、そのせいで身体が求めていたのかもしれないな」 「身体を·····」 また少し赤くなるのを感じ、思わず頬に両手で押さえつつも、うっすらと思い出してきた。 兄と婚姻する朝、西野寺が言っていた部分がチクチク痛んでいたことを兄に言った際、気になることを言っていた。 ──僕のことを受け入れる準備が始まっているんだね。 と。 それがそういう意味だったとは。 18になると嫌でも分かると言っていた意味が本当に分かってしまい、複雑な気分になった。 そんな自分をきっと分かってない西野寺に責任を持たせてしまうだなんて。 「·····西野寺君、ごめんね。本当だったら、僕と兄さんがしなければならない役目を持たせてしまって·····ごめんなさい」 正座し、膝上に乗せていた手をぎゅっと握りしめる。 視界が歪む。 ここで泣いてはいけないのに。だめ。 そう思えば思うほど、ポロポロと涙が流れ落ちる。 「ごめ、ごめんなさ·····」 「·····葵人のせいじゃねぇ。これは俺の·····西野寺家の責任だ」 その手の上に手を添え、ぎゅっと握りしめられた。 何よりも西野寺の発言が一瞬にして涙が止まるには十分の效果だった。 「え、それって、どういう·····」 「詳しくは親父にでも聞いてみてくれ。俺も聞きたいし。·····立てるか?」 そのまま手を握って、立ち上がった西野寺が立ち上がらせようとしていた。 今更ながらに気づいたが、西野寺も浴衣を着ており、それが兄とはまた違った感想を抱く。 兄と変わらない身長であるが、こちらの方ががっしりとしていて、首から鎖骨にかけてのラインが男らしい。 胸の膨らみと同じく、いわば女性らしい身体付きになってしまっている葵人とは全く違く、羨ましさもあるが、胸の高鳴りが止まらない。 「·····浴衣、似合うな」 心の中でそう呟いた。──その、はずだった。 かぁ·····っとみるみるうちに顔が赤くなっていく西野寺。 一瞬どうしたのだろうと首を傾げたものの、「えっ! もしかして声に出てた!?」 「~~っ!! 早く行くぞっ!」 「えっ、ま、──わっ!」

ともだちにシェアしよう!