僅かにピクっと身体を震わせた葵人に、「どうかしたのか？」と訊く。 「·····福井さんを呼んで」 「福井さ·····──分かった！」 葵人を横にした後、察した西野寺は慌てて部屋を出ていった。 再び一人となった葵人は、出来る限りぴったりと足を閉じ、動かないようにじっとし、福井が来ることを待っていた。 その時、ちらりと廊下側の部屋の角に設置してくれたテレビが目に映った。 とある動物番組で、動物が発情し、行為を始める映像を観た時、意識が無くなり、求めてしまうのは動物と同じ、『発情期』なんだと理解してしまい、悲しくなってしまった。 そして、それが終わると生理が来てしまう。 発情期は不定期で、いつ終わるのかは分からないが、生理は発情期が終わり、三日以内には来るサイクルのようだ。 葵人はいわゆる重たいタイプなようで、発情期の時に腰を痛めた上にさらに頭痛と腹痛が増える。最悪であった。 どれもこれも自身の家がしでかしてしまった罰なんだと突きつけられる感覚。 いつの間にか溢れそうになっていた涙を、慌てて拭って、ぎゅっと目を閉じた。