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周期について 8

たしかに、そう思っていなければ、今頃西野寺家に居候していなく、あの家で兄と夫婦となり、産まれてくる子供らと共に外に出られぬまま、一生過ごすこととなっていただろう。 そこまでのことを思って、葵人のことを助け出したのだ。そう思っていないはずがない。なのだが、改めて他人に言われると、くすぐったい気持ちになる。 「私たちは、そんなお二人を見られてとても幸せです」 改めてにこりと笑いかけた福井は立ち上がり、「では、私はこれで。また何かありましたら、遠慮なく仰ってくださいね」と言って、部屋を出て行った。 障子の影から消えたのを確認した後、布団から顔を出して、そのまま天井を見上げた。 まだ顔が火照っている。 なかなかにこれは冷めることはないだろうと思いながら、無理やり違うことを考えて一眠りしようとした時。 「葵人、大丈夫か?」 部屋を入る断りもなく入ってきた西野寺は少しばかり息を切らしていた。 何故、息を切らしているのかと疑問に思っていたが、目が合ったことにより、咄嗟に今度は顔を全て隠した。 なんで、こんなことをしてしまったんだろう。 自身の行いに後悔していると、そばに寄る気配があった。 「大丈夫·····じゃなさそうだな」 「·····うん、全然」 「そうか。だが、俺じゃどうすることも出来ないしな」 まいったな、とため息混じりに言う西野寺に被せるように、「違う」と言った。

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