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囚われの身***9
「ダールを狂わせるほどのオメガのテクニックとやらを見せて貰おうか」
「なに、を……」
すっかり怯えきっているマライカは乾いた口を開けるものの、掠れた声は土壁に吸収されてしまう。
ファリスはマライカが着ている上着をまくし上げ、マライカの上体を露わにする。披露された日焼け知らずの桜色の肌は扇情的だった。
「なるほど、この肉体ならダールが飛びつくのも訳はないな」
魅惑的なマライカを余すところなく、足の爪先から頭のてっぺんまで隅々を見下ろすファリスの目は飢えた肉食獣そのものだ。
恐怖に襲われているマライカが身動げば、ファリスの四肢によって身体を広げたままの状態で固定された。
「純情そうなこの胸の飾りは今までどれだけ奴に可愛がられたんだ?」
骨張った指が柔肌を滑り、両胸にある飾りのひとつを撫で上げる。
ファリスは柔肌に乗ったふたつの飾りの一方を薄い唇に、もう一方を摘み上げた。
「っひ!」
初めての行為に、しかも自分に憎悪を抱く相手に何をされるのか判らないマライカは腕を動かし必死の抵抗を試みる。
けれども自分を組み敷くこの男はびくともしない。
いったい自分はこの盗賊に何をされるのだろうか。
恐怖に襲われるマライカを余所に、飾りのひとつはねっとりとした熱に含まれ、もう一方は胸の上で転がされる。
ダールとは父親の命と引き替えに半ば強引に面識もないまま嫁ぐことを決められたものの、マライカは当然、両親には手塩にかけて育てられた。未だ色事を知らない。だから男のマライカにとって、飾りでしかない胸のそこで感じることはないと思っていた。
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