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囚われの身***10

 それなのに、ファリスの行為はマライカの身体に異変を与えた。  両胸にあるふたつのそれはただの飾りでしかないと思っていたのに、今や赤く熟れ、徐々に尖りはじめている。  そればかりか、飾りを刺激されたことで太腿の間にある一物は膨らみ、蜜が溢れ出す始末だ。  胸に与えられた刺激が熱を伴って下肢に移動し、みぞおちに隠る。  この、言いようのない甘い疼きは何だろう。激しい動作をしていないのにも関わらず、息が乱れる。  たしかに、マライカだって年頃の男子だ。下肢に熱が灯ることはあるし、慰めのために触れることだってある。けれども、今まで経験したことのある熱とは明らかに違う。  ――いや、それだけではない。生まれた熱は少しずつ大きな炎に変化しつつある。腹の底から声を上げたくなる。  けれど声を上げてしまえば何かが狂ってしまいそうでもあった。  幸か不幸か、17歳になっても未だ発情期には至らず、オメガ特有のヒートも経験がなかった。色事を知らない純粋なマライカは、抵抗の術も判らず、ただただ歯を食いしばるしかない。  ヒップスカーフとズボンに身を包む下半身のあられもない淫らな姿をこの男にだけは知られるわけにはいかない。  この身に起きている異変をファリスに知られることがいったい何を意味するのかは想像もつかないが、きっと恐ろしいことになるのは理解していた。  マライカは必死に口を紡ぎ、押し寄せてくる快楽に抵抗する。  しかし、その抵抗も無駄だった。マライカを組み敷くファリス(この男)はマライカの異変に気がついたのだ。

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