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囚われの身***14
そこには、どこか優しく懐かしい漆黒の目。分厚い唇に甘いマスク。
ダホマで出会った、あの男性がいた。
(これは夢だろうか。それでもいい。どうか、まだ覚めないで……)
「マライカ……」
彼がマライカの名を呼ぶ。
言われたとおり、マライカがほんの少し力を抜いてみせれば、
「良い子だ」
彼は眩いばかりの微笑を浮かべた。
マライカは我を忘れ、ただひたすら彼を求めて両腕を伸ばす。恐る恐る彼の頬に触れると、マライカの唇が塞がれた。
重なり合う唇から息を注ぎ込まれた熱が口内に宿る。唇をノックされて開けば、長い舌が滑り込み、歯列をなぞる。マライカもまた彼の舌を追い、絡め取って吸い上げる。彼の唇を貪るマライカは、今まで聞いたことのない甘い声を出した。
それでもこれは夢なのだからと、後頭部に指を入れて自ら口角を変える。
マライカの中にあった恐怖と苦痛は消え去っていく……。
あるのはただ、初恋の男性に会えたという幸福感だけだ。
冷め切っていたマライカの下肢はいつの間にかふたたび熱を持ち、じっとりと濡れていく……。
彼との口づけに再び灯った炎は情熱を呼ぶ。
官能の波に委ねたマライカの身体が、しなやかな曲線を描いた。
はしばみ色の目に涙が溢れ、糸を引く。
けれどもその目には恐怖はなく、夜空に瞬く星々のように輝く光があった。
マライカの中から恐怖の影が薄れたことを知った彼は、体内で律動を繰り返す。
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