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苦痛。***4
てっきりこの集落に住む民たちこそが盗賊そのものだと思っていたのだが、今目の前にいるこの少年は大人しく、ジャンビーアも腰に差してはいない。とてもじゃないがそういった暴力的な行為ができそうにない気がする。
だとすれば、ターヘルもまたマライカと同様、無理矢理この集落に連れて来られたのだろうかと思えば、彼は違うという。どうもこの少年の言動から、嘘をついているようには思えないのだ。
もし、ターヘルの言葉が真実であるならば、ファリスは民に体罰を与えないということになる。
いや、しかし。マライカはハイサムの頭ファリスから身体を組み敷かれ、乱暴な扱いを受けた。
まだ幼いターヘルこそマライカ同様、あの男に虐げられているとは到底思えないが、体罰を受けている可能性だって拭えない。もしかするとファリスに脅され、口止めされているかもしれないのだ。
しかし困ったものだ。
マライカはこの傷が癒えれば再度、逃亡を試みようと思っていた。自分が侵したヘマのせいで両親の命が危うい。何としてでも両親に自分の身体が穢れてしまったことを伝えなければならない。それから夫になるダールには自ら彼の元へ戻り、主人の期待を二度と裏切らないと許しを乞う必要があるのだ。
けれど――……。
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