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ぼくのすべてを貴方に。***5
「わかった。ダールに嫁がせようとしたわたしにも落ち度がある。それにワーリー王も極悪人ダールを今の今まで野放しにした負い目もあるだろう。どうにかできるかもしれん。王に謁見を許してもらえるよう、かけあってみよう」
セオムは大きく頷いた。マライカは安堵し、瞼が熱くなった。
ワーリー王を上手く説得することができれば、ファリスの命は助かるかもしれない。
「――ただし!」
セオムは続けた。
「お前と盗賊の結婚は許さないぞ!!」
セオムの言葉は頑なだった。
しかしマライカは知っている。どうせファリスを釈放してもらっても愛はない。到底彼とは一緒にはなれないのだ――……。
「はい。わかっています……父さん、ありがとう……」
マライカは目に涙を浮かべ静かに目を閉じる。
どうかファリスが助かるようにと神に祈りを捧げた。
《ぼくのすべてを貴方に。・完》
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