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謁見。***3

 自分への怒りと悲しみで唇が震える。そんなマライカを見越してか、はたまた長く続く沈黙に痺れを切らしてか、王はふたたび口を開いた。 「セオムから聞いた。お前は罪人ハイサムの頭領との間にできた赤子を身籠もっているようだが――処刑を取り止めるよう、余に進言しに参ったというのは誠か?」 「――はい」  ようやく言えた言葉は震えていて、思いのほか小さい。  それでも王は聞き分けてくれた。さらに彼は問う。 「聞けばお前は盗賊を助けたいと言うではないか。お前はその盗賊に囚われた身だった。その時にできた子ではないか?」 「左様でございます」  マライカは頷いた。 「その男に乱暴されたのならば、なぜ処刑を取り止めるよう余に意見する?」 「彼がいなければ、ぼくは今頃ダールの子供を身籠もっていたからです」 「代わりに盗賊の子供を身籠もったではないか。其方の言い分からして、ダールよりもハイサムの頭領の子供の方が良いというふうに聞こえるが?」 「それはぼくの宿望だったのです!」 「なんと!」  マライカの返事は王の想像を超えていたようだ。彼は驚きの声を上げた。 「彼がいなければ今のぼくはなかった」  あのままダールに嫁ぎ、日中問わず抱かれ続ければどうなっただろう。  想像するだけでもおぞましい。  身を持ち崩し、自分が自分であることさえも忘れ、生きた屍になっていたに違いないのだ。そして子供を生み続け、オメガの子が生まれればその子が売り飛ばされていたかもしれない。はたまた自分が売られたかもしれない。

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