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囚われの身***2

 馬に乗せられていったいどのくらい進んだだろう、蛇行する迷路のように入り組んだ細やかな道が続く中、やがてマライカは集落の中心にある大きな建物の中に押し込まれた。  さすがは古代アウヤール人だ。この集落にある建物はすべて赤褐色の日干し煉瓦で、見た目こそ華やかではないが、壁は厚く、40度の気温でも涼しい造りになっていた。  若き鷲の部隊長に馬から下ろされ、引き摺られるままに進めば、やがて大きな広間に辿り着く。  その瞬間、これまで見るもの全てが赤褐色だった視界は一気に彩りを増した。床にはターコイズブルーや洋紅色(カルミン)など色鮮やかな糸で織られた絨毯が敷かれていた。  そして広間の中央に鎮座している男こそが若き鷲、ハイサムの頭だろう。引き摺られてやって来たマライカを見るなり、彼を守るようにして脇を固める配下数人が腰に差してある鞘からジャンビーアを引き抜き、身構えた。  マライカは盗賊集団の中央へとその身を投じられる。ハイサムの配下たちによって両腕を拘束されたまま、ひれ伏した姿で背中に圧力を掛けられた。 「お頭、例の物をお持ちしました」  マライカをここまで連れてきた部隊長は言うなり、お頭と呼ぶ男の前に跪いた。  生まれつきマライカは細身で、筋肉がつきにくいこともあって力は弱い。ただでさえ複数の男によって雁字搦めにされているのに、相手は好戦的な盗賊、ハイサムの一味だ。普段から戦い慣れている彼らの力は恐ろしく強い。

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