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囚われの身***3
背中に圧力を掛けられたマライカのひ弱な骨は今にも折れてしまいそうなほど軋み、悲鳴を上げている。
マライカはあまりの痛みに苦痛を漏らした。
「解放してやれ」
張りのある若々しい低音はまぎれもなく頭のものだろう。威厳に満ちた声により、依然として両肩に力が加えられているものの、後頭部は解放された。
マライカは自由が利くようになった頭を上げ、睨むようにして大盗賊の頭を見やれば――その瞬間、身体が硬直し、息さえも止まる。
「あ、どう、して……」
マライカは自分の目を疑った。
足を組んで気怠げに座している男は声音と同じく権力に満ちた年若い青年だった。年の頃なら25。張りのある小麦色の肌に高く整った鼻梁と鋭い漆黒の目。そして厚みのある男らしい大きな唇。
白のカンドゥーラの上からカルミンのデザートローブを羽織っている彼は忘れもしない、ダホマの酒場で自分を助けてくれた男性だった。頭には出会った当初にはなかったクントゥラを被っているものの、初恋の男性を見間違える筈はない。
「……まさ、か」
あの心優しき男性がまさか若き鷲の名を統べる、ハイサムの頭だというのか。
喉の奥を戦慄かせながら訊ねるマライカの声は掠れている。現実を受け入れられず、呼吸さえもままならない。口内の唾液はねばつき、乾いた空気に持って行かれる。
「久しぶりだな」
口角を上げてそう言った男の目はけっして笑ってはいない。
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