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heat***2

 今朝は何でもなかったのに、時間が経つにつれ、徐々に熱が上がってきている。  それに、臓器の全てが燃えるようだ。  まともに呼吸ができない。  マライカはベッドの上で四肢を振るわせた。  こんな症状は生まれて初めての経験で、ひょっとすると流行り病にでもかかったのかと思ったが、身柄は拘束されているものの、極めて健康的な食事を摂らされている。  流行病なら、マライカと同じ生活を送っているターヘルにも影響があるだろう筈が、彼はいたって健康で、マライカと同じような症状を訴える様子はない。  ターヘルになくて自分にあるもの。  ――と、すれば、思い当たるのはただひとつ。  ヒートだ。  マライカが14歳になる頃から母親に常々聞かされていた症状と似ていたから、なんとなく判る。  母親が言うには、ヒートはオメガ特有のもので、女性の月経に似ているという。健康的な状態ならば、20~26周期に一度、必ずやって来るごくごく自然な生理現象で、普段ならばいくらオメガであっても同性に抱かれて子を宿すことはないが、この状態になると同性との情交でも子を宿してしまう危険性があるのだと。  過去より今まで、謎多きオメガだと言われてきたが、最近の研究結果により、その状態が医学的に解き明かされつつあるのだという。  ヒート状態になったオメガはまず、脳から大量に分泌される大量のアドレナリンによってホルモンバランスを崩され、男性性から女性性のホルモンが一気に傾く。体温調節が難しくなるのはそのためだ。

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