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ファリスという男***2
事後の処理はどうやらファリスが行ったらしい。最奥へと注がれた白濁も、マライカが吐き出した蜜も、何もかもが綺麗に取り除かれ、新しい衣を着せられていた。
とはいえ、ファリスに抱かれた痕跡である肌に乗った赤い痣はところどころ居たる箇所に散らばっている。それでも純粋なターヘルは風邪か何かの後遺症だと思ったのだろう。痣は痒いものなのか、あるいは痛いものなのかと症状を聞かれて返答に困った。
それにしても判らないのはファリスという男だ。
いくらまだ子供とはいえ、ファリスはマライカがオメガだということをターヘルに説明しなかった。
おかげでターヘルは以前と同じ純粋な目でマライカを見てくれている。
彼に人を気遣う芸当ができたのは驚きだ。
気遣うといえば、おかしな点はまだたくさんある。
二度目の再会を果たした時、マライカを無理矢理組み敷いたものの、ヒート状態に陥った時には玩具のように扱わなかったことも、おかしな点のひとつだ。
理性を奪い、欲望を剥き出しにさせてしまうヒート状態の時こそ、マライカを酷く扱ってもいい筈なのに、彼はそうしなかった。
たしかに、ファリスという男は自我が強い。たとえ、自身の動物的本能でさえも自分をコントロールされることを嫌う、自己中心的なところがある。
それでも、マライカを慰める必要は無い筈だ。ヒート状態のマライカが自己嫌悪に陥った時、彼は涙するマライカを宥めたのはなぜなのだろう。
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