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ファリスという男***4

 苦痛と嫌悪がマライカを襲う。  彼にとって、マライカが他の人間に組み敷かれることがそんなに不都合だったのだろうか。これではまるで嫉妬されているみたいじゃないか。 (……まさか)  そんな筈はない。  期待をするだけ後が悲しくなるだけだ。  マライカの脳裏にひとつの考えが過ぎったもの、あまりにも自分の都合良く考え過ぎている気がして小さく首を振った。  生まれ出た考えを打ち消す。  では、なぜファリスはマライカにかまうのだろう。  ファリスの心情が判らない。 「ねぇ、ターヘル。ファリスが若き鷲(ハイサム)の頭だっていうことは知ってる?」  果たして自分を助けてくれた男は、世間で言われるところの情け容赦ない大盗賊なのか。  少なくともマライカが見ている中では、ファリスがターヘルと接する時はとても優しい。  ターヘルにしても、彼をとても尊敬しているようだ。そもそも、ターヘルはなぜそこまでファリスを尊敬しているのか。  ひょっとすると、ターヘルはファリスの正体を知らない可能性だってある。  そしてファリスは自分の正体を隠し、ターヘルと接しているのかもしれない。  そう思って、マライカは訊ねた。  とにかく、どんな些細なことでもいい。ファリスのことが知りたい。  自分が知らないファリスを――……。  そんな思いで訊ねるマライカに、ターヘルは胸の前で握り拳を作った。 「はい! 盗賊だからこそ、ぼくらは助けられたってばばさまが言ってます」 「――助けられた?」 (ファリスが盗賊だから?)  いったいそれはどういうことだろう。

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