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ファリスという男***7

 ターヘルの口ぶりからすると、お祖母様は今もご健在なのだろうが、幼くして両親が亡くなってしまったことには変わりない。マライカも、今まさに両親の命が危うい。生と死の瀬戸際に立たされているからよく判る。彼の心情を思うと、胸が痛い。  マライカはターヘルの手を包み込むと、ターヘルもマライカの手を握り返した。  そして、過去の悲しい出来事を吹っ切ろうとしているのか、もう一度小さく首を振った後、マライカを見上げる。 「――だけど、ファリスさまは死を覚悟して進言した父の話を聞いてくださったんです!」  マライカを見るその目は力強く、澄みきっている。  ターヘルがファリスの名を出すたびに目が光輝き、生き生きとする。彼にとって、ファリスは神のような存在なのだろうことがよく判る。 「ファリスさまは、当時王宮の騎士だったんですが、自分の兵士たちと一緒に牢に閉じ込められたばばさまたちを助け出し、この場所へ連れて来てくださったんです。そしてファリスさまも、ファリスさまの兵士たちもご身分を捨てて盗賊になり、この集落に移り住みました。しかも死の病を治してくれるお医者さまも見つけてくださったんです! おかげさまで、ばばさまたちは今も元気で過ごしています。ばばさまたちがいるから、ぼくもひとりぼっちじゃありません。……そりゃ、他人の物を盗むのはいけないことだって知っています。でも、ぼくらを生かすよう導いてくれました」

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