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ファリスという男***8

 ターヘルは尚も続ける。 「それから、ハイサムはお金持ちの人からしか盗みはしません。貧困で苦しんでいる人からは何も盗まないんです。ばばさまや、ぼくたちを助けてくださったのは、神さまでもなければ王さまでもない。ファリスさまでした。ファリスさまこそが、この集落に住む人々の守り神であり、真の騎士です!」  ターヘルの目はとても輝いている。嘘偽りを口にしている様子はこれっぽっちも見受けられない。  そしてターヘルは最後にこう告げた。 「ぼくも大きくなったらファリスさまのようになりたいんです」と――。  そうか。  だからだ。マライカがこの集落にやって来た時、この街に住む人々は鋭い視線を寄越し、警戒心を露わにしたのは――。彼らはマライカもまた、自分たちを見捨てた王の仲間だとそう思ったのだろう。  そしてファリスの部下たちの結束の固さ。彼らがファリスの兵だったならば話が早い。彼らは主人に忠実な部下だ。  ターヘルの話ですべて辻褄はあう。  ファリスはこの集落に住む人々を守るために金が必要だった。  しかし王は頼りにならず、だから盗賊になるしか他に道はなかったのだ。 「もしかして、ここに住む集落の人たちもハイサムに加わったの?」 「はい! だからぼくも、いつかは盗賊の一味に加えていただきたいと思ってます! ここに住む人たちは血は繋がってませんが、みんなぼくの家族なんです。それなのに、ファリスさまはいつまでもぼくを子供扱いするんです。ぼくだってもう10歳になったのに!」

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