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ファリスという男***9

 ターヘルは、むぅっと頬を膨らませた。  彼はとても不服そうだ。  可愛らしい純粋なターヘル。  だからこそだろう、ファリスはターヘルに世間から後ろ指をさされるような生き方をさせたくないと思ったのだ。  マライカもファリスの意見に賛成だ。ターヘルはいつまでも純粋なまま育ってほしい。 「そうだね、ターヘルはもう10歳になったものね」  マライカは微笑めば、「でしょう?」と、上体を後ろに大きく反らし、ふんぞり返った。  その姿もまた可愛らしい。 「ターヘルは盗賊になりたいんだね、でもぼくはターヘルと一緒にこうしていたいな」  マライカはわざと悲しい表情と声音を作った。 「それはぼくだって同じです! あ、そうか。ハイサムになったらマライカさまとこうして毎日お会いできなくなりますね……」  ターヘルは、「う~ん」とひとつ考えた後、「だったらもう少しこのままでいいです」と、白い歯を見せて笑った。 「そうしてもらえるとぼくも嬉しいな」 「ファリスさまに代わってぼくがマライカさまをお守りするんです!」  またまた得意気にターヘルは言った。 「ファリスたちハイサムはぼくを誘拐してダールから多額の身代金を要求しようとしているんだね……」  なにせダールは赤の他人であるマライカの父親に王へ返済するための金の肩代わりを申し出てくれた。大富豪と世間から称されるほどの大金持ちだ。おそらく彼の屋敷を少し覗いただけで有り余るほどの財宝が出てくることだろう。

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