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仕組まれた出会いと策略。***6

 だからどんなに不当があっても、虐げられようとも――マライカには拒否権なんて一切ない。もともと、この世に生を受けた直後から決まっていた運命だ。自分がオメガであると通告を受けたあの時から、人々に蔑まれ生きていく覚悟はできていた。  ――しかし、両親はオメガの性にもかかわらず、マライカを大切に慈しんで育ててくれた。マライカにとって両親は自分の命よりも大切なかけがえのない存在なのだ。  だからダールが、マライカが犯したヘマの所為で彼らに罰を与えられることだけは避けたかった。  自分の為に両親が酷い目に遭わされていると思うと、マライカの心は打ちひしがれた。悲しみに顔が歪む。 「お願いです、どんな戒めもお受けします。ですからどうか、父と母をお見逃しください。お願いです」  みぞおちに全体重を乗せられ、激痛に苛まれながらも途切れ途切れに声を上げ、怒り狂う主人に許しを乞うた。 「ふん、まだ親を気遣う余裕があるか。お前には失望したよ、マライカ。お前を手に入れるため、この儂がどれだけの時間と金を浪費したか判るか? 大金を払って盗賊を雇い、積み荷を奪わせたというのに……よりにもよってあの小僧に抱かれおって!!」  残酷な言葉がマライカの頭の中で木霊した。 「なん……」  思いもしない主人の言葉にマライカは我が耳を疑った。  言葉を失ったマライカは、息を飲んだ。ひゅっという音が口から飛び出す。  全身から力が抜け落ち、口内がからからに乾いていく……。

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