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脱出***4

 ターヘルの話によると、ファリスはダールに復讐を考えているようだった。それは彼自身が否定しなかったことから真実と言えるだろう。おかげでここの見張りは手薄だ。体力を失っている今の自分でもアジトから抜け出せる。  何より、このアジトを十分に熟知している青年も一緒だ。連絡係というだけもあって、ファリスが配置した盗賊をことごとく理解しているようだ。誰にも鉢合わせすることなく、まるで蟻の巣のようになっているこのアジトを抜けきることができた。   「ここを出ればまずはひと安心です」  振り返れば迷路は消え、開けた視界の先には砂漠が広がっている。  空はすっかり藍色へと変化し、散りばめられた星々だけが砂地を照らして輝いていた。 「ありがとう」  言った矢先だった。みぞおちに強烈な痛みが走った。そのまま蹲り、マライカの意識が途絶えた。 「いえいえ、それはこちらのセリフですよ」  彼は気を失ったマライカを見下ろし、静かに答えた。 《脱出・完》

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