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罠***3

「はい、ファリスさまのためなら」  良い子だ。  ターヘルはいつだってファリスたちを疑うことはない。だからこそ、ターヘルには手を汚すような行為をさせたくはなかった。  できれば、彼には素直なまま育ってほしい。人間の邪な感情を知らず、真っ白なままいてほしかった。 「今からムジーブたちの元へ向かってほしい」 「ムジーブさまの?」 「ムジーブは今、ダールの屋敷を見張っている筈だ。中で何が起ころうと、俺が良いと言うまで見張りを続けるよう、ムジーブたちに指示を頼む」  ファリスと同等の剣の腕をもつムジーブのことだ。ヘマはしていないとは思うが、長年連絡役として働いてくれていたあの男が裏切ったともなれば、気を抜いた可能性もある。  万が一にでも拘束されているようなら、ターヘルには拘束を解いてもらう必要がある。 「……ダール」  まさか奴が連絡係を飼い慣らしていたとは思わなかった。  マライカはまだダールの元に着いていないとは思うが、もし、ダールに会えばどんな仕打ちを受けるだろうか。  ファリスは夫となるダールよりも先にマライカを抱き、身体を暴いた。これはダールにとって裏切りの行為に他ならない。  もし、その裏切りの行為がダールに知られれば、マライカの命が危ぶまれる。  マライカの痛めつけられた姿が脳裏を過ぎる。  その時だ。またもや胸が張り裂けそうなほどの痛みを感じた。  この胸の痛みも、焦燥感の意味も、ファリスは既に知っている。ダールの手によって妹の命という灯火が消された時に感じたものだ。

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