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罠***5

 ファリスたちハイサムはいつだってダールの策略を邪魔してきた。彼にとってファリスは目の上のコブ。そして砂漠に囲まれているこのジェルザレードは政府の目から逃れられる格好の場所でもある。砂漠に覆われ、孤立したこの地は蟻の巣のように細かくうねった道。この地の利を生かせば、どんなあくどいこともできる。  ファリスがこの地を拠点にしたそもそもの狙いはまさにこの地の利にあったのだから、言うまでもない。  もし、ファリスがマライカを助け出すためにこの地から去れば、ダールが雇った殺し屋共は集落にまで押し寄せ、ジェルザレードの民は皆、ダールに殺されてしまう。  それだけは絶対に避けなければならない。  ならばマライカがダールに殺される前にどうにかして殺し屋共を駆逐し、助けに向かうしか他に方法はない。  けっして妹と同じ過ちを犯してはならない。ファリスは自身に言い聞かせた。 「ファリスさまは?」 「あの残党を片付け次第、ダールの懐に入り込む」  ターヘルの声にファリスは口を開いた。そして彼は声を張り上げた。 「野郎共! 宝はすぐ目の前にある。財宝を手に入れるぞ!」  ファリスが拳を突き上げ、ジャンビーアの切っ先を頭上に向けると、ハイサムたちの怒号が周囲に響き渡る。同時にファリスは先頭を切り、敵の群れへと突き進むと、続いて残りのハイサムらもジャンビーアを構え、馬は地を蹴った。

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