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仕組まれた出会いと策略。***4

 ――ともなれば、この男はまぎれもなく、ダールの息のかかった者に違いない。そこでマライカの脳裏に一瞬不快な思考が過ぎったものの、ダールの言葉によって遮られた。 「ヴァイダ、これを抱いたのは誰だ?」  毒を含んだかのようなどす黒いダールの声は、さすがのヴァイダも恐れを抱いた。彼は震える声で、ハイサムの頭領の名を口にした。  その名を耳にしたダールの表情はさらに赤黒く変色する。口はひん曲がり、目は真っ赤に充血する。 「この淫乱が!」  ダールはマライカのズボンを引き下ろすと、今度は剥き出しになった臀部に平手を打ち込んだ。ヴァイダの息を飲む音がマライカを屈辱へと追い込む。  よりにもよって他人の目に尻を叩かれる姿を見せられるなんて侮辱以外の何者でもない。羞恥がマライカを責め立てる。剥き出しになった臀部を見つめるヴァイダの視線から逃れるため、マライカは懸命に目を瞑り、耐えるしかなかった。  それなのに、ダールの怒りは一向に治まらない。マライカを罵る言葉の数々と共に平手打ちが臀部に乾いた音を弾き出す。  いったい何度目になるだろう、臀部はすっかり赤く腫れている。  マライカはすっかり打ちのめされているのに、怒りは静まることを知らない。ダールはさらに鞭を取り出した。 「よくもこうも儂を侮辱してくれたな!」  鞭は風を切って振り下ろされ、容赦なく叩き付けると、マライカはとうとう悲鳴を上げてしまった。

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