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仕組まれた出会いと策略。***10

「良い余興を考えたわ。今晩の餌はこいつにしてみよう。ヒート状態のオメガを喰うか、それとも食らうのか。その光景をお前の親にも見物させてやろう。愛する我が子が目の前で犯される姿を見た親はどんな表情を浮かべるのか、楽しみじゃないか。なぁ、マライカ……」  ダールは言うなりマライカの手の中にあった薬を無理矢理奪った。 「お前が儂を裏切った罰だ。安心しろ、狼がどう動くにしろ、余興が終わればお前の親は儂が始末してやる。だがお前は違う。生きるも死ぬも狼次第だ」  そこまで言うと、ダールは悲しそうな表情を作り、マライカを見下ろした。 「マライカ、残念だよ。儂自らがお前を快楽に浸らせ、嫌というほど儂の子を孕ませ続けたかったのに……」  そう言うと、ダールは去って行く……。  マライカはこれまでにない恐怖に襲われ、頭が真っ白になっていた。だからこの部屋に自分以外のもう一人がいることを忘れていたのだ。  自分がひとりきりではないことを思い知らされたのは、背を丸めたマライカの頭上から、ねっとりとした声が聞こえたからだった。 「可哀相になぁ……。ダール様も残酷なことを考えられる。よりにもよって狼の餌食にされるなんてなぁ。恐怖でどうにかなりそうだろう?」  マライカは気を強く保つため、にじり寄ってくる男の顔を睨んだ。 「おっと、悪く思わないでくれよ。もともとハイサムの頭は気に入らなかったんだ。あの男は盗んだ金を集落や貧しい生活をしている人間に渡しやがる」

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