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再会と別れ。***2
あんなにも会いたいと願っていた人が今目の前にいるというのに、今となっては会いたくなかったと思ってしまうなんて自分勝手も甚だしい。
視界が滲んでいく……。
瞼が熱い。情けなくて悲しくて、泣きそうだ。
そんなマライカを余所に、ファリスはジャンビーアの柄で腕や足に嵌められた錠を壊し、手を差し出す。しかし、マライカは彼の手を阻んだ。
「見ないで……触らないで……傷だらけで汚いから……」
彼の目を穢さないよう、両手で自分を抱きしめる。自分の殻に閉じこもるために目を閉じた。
「全部、ダールだった。盗賊を雇って父さんの貨物を奪わせ、借金の肩代わりをしたのも、すべてダールがぼくを手に入れるためにしたことだったんだ……ぼくが……抱かれてしまえば子供を宿す卑しいオメガだから……性に汚れた存在なんだ……。その所為で、ファリスたちを危険な目に遭わせた。ぼくがいるだけでみんなを不幸にする……ぼくは汚い!」
「もういい、もう終わったんだ!」
マライカは己を罵倒する中、ファリスは声を張り上げてそれを制した。
ほんの一瞬、静寂が生まれる。
マライカ自身の息を呑む音が聞こえた。
「美しいマライカ」
閉ざした暗闇の中で聞こえた優しい声音。
その声音はあの晩、マライカが初めてヒートに侵された時にかけられたものと同じだった。
「たとえ誰がどんなに君を穢そうとしても、君の内面の美しさは何も変わらない……」
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