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盗賊の成れの果て。***4
(――何とでも言えばいい)
ぽつりと吐き出したムジーブに、ファリスはフン、と鼻を鳴らし、ただ仲間たちが宴を繰り広げている様を見下ろした。
黙したままアルコールを空っぽになっている胃の中に流し込む。
いくらアルコールを口にしても、マライカがいなくなったことでぽっかりと穴が空いたような感覚は消えない。
ファリスは、ずきずきと痛むこの胸をアルコールが麻痺させてくれるよう祈りながら目を閉じる。
けれどもファリスは、この祈りほど無駄だなものはないと知っていた。神はいつだって人間にとって都合の良い祈りを叶えてくれはしないのだ。とりわけ、自分の欲望塗れとなって生きてきた大盗賊の頭の祈りは――。
「しかし、厄介なことになったな」
「何がだ」
「しらばっくれなくとも良い。ヘサームのことだ。お前ももう判っているんだろう? もう間もなくハイサム が崩壊することを……」
ムジーブの言葉に、ファリスは無言のまま、手にしていた酒をまた喉の奥に流し込んだ。
「だからだろう? 彼を連れて来なかったのは――」
太陽の光が窓に差し込む。いよいよ明るくなる頃、見張りの仲間が踊り明かす仲間の方へと走り込んで来た。
「来たか――……」
ファリスは目を細め、その異様な光景を見つめる。
いつの間にかムジーブもファリスの隣に立ち、見下ろしていた。
「大変だ! 王宮の兵士だ! 兵士共がやって来た!」
声を張り上げる仲間のひとりと共に、小さな足音が部屋に近づき、止まった。そうかと思えばドアが大きく開く。
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