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盗賊の成れの果て。***7
民たちも、自分たちハイサムも、もう十分傷ついた。これ以上の血を流す必要もない。
「ヘサーム! 俺が縄を打たれる代わりに他の連中には手を出さないと約束しろ」
ファリスはヘサームに負けじと声を上げた。
ファリスは王宮に棲む人間がいけ好かなかった。しかし、正義感が強く、何があっても約束を違えないヘサームという一人の男のことはよく知っていた。少なくとも、ダールよりもはるかに頼れる。
「約束しよう。我が剣にかけて……」
案の定、ヘサームの返事はすぐに返ってきた。彼は深く頷く。
ファリスは腰に収めたジャンビーアを抜き取るとムジーブに渡した。
「ファリスさま……」
「首ならくれてやる。さあ、俺を王の元へ連れて行け!」
ハイサム頭領の処刑は免れない。
しかしファリスには失うものはなかった。
そしてダールに復讐をもたらした今、自分には成すべきことなど何もない。
これこそがハイサムの頭領ファリスが下した決断だった。
《盗賊の成れの果て。・完》
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