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第13話
2ー1 すべては悪夢でいいですか?
「・・つ・・セツ・・」
誰かの呼ぶ声がして、俺は、ゆっくりと目を開いた。
「セツさん!」
目の前に美しくって儚げな美少女の姿が見えた。
誰?
俺は、はっと気付いた。
なんと、俺、この美少女の膝枕で眠っていた!?
「ほぇっ!」
驚いて奇声を発して飛び起きた俺を見て美少女は、にっこりと笑みを浮かべた。
「気が付かれました?中田 セツさん」
俺は、どきどきを押さえることができなかった。
だって、だてに20歳過ぎても童貞じゃねぇんだよ!
女子の膝枕なんて刺激がつよすぎるって!
俺は、ちらちらと挙動不審さを隠すことなくその美少女を見つめていた。
うん。
間違いなく極上の美少女だった。
まるで背中に白い羽でも隠していそうな美少女。
ふわふわの少しカールした柔らかそうな光りに透ける金色の髪に、淡い紫色の瞳。
なぜか、服装はセーラー服だったが、気にしない!
「あの、俺、その、どうしてここに?」
くらくらするおつむでパニックになりかけている俺を見て美少女はくすっとかわいらしく笑った。
「落ち着いてください、セツさん。私は、あなたの見方だし、ここは完全に安全な場所ですから」
マジですか?
俺は、少し落ち着いてきてから周囲を見回した。
あれ?
ここは。
俺は、どこかで見た覚えのある場所だと思いながらもなかなかここがどこなのかわからずにいた。
うん。
俺は、記憶の中をたどり、ここがどこなのかを探した。
そうだ。
俺は、すとんと収まるのを感じた。
ここは、俺の家の近所の小さな神社の境内だった。
懐かしい。
子供の頃以来だ。
そう。
ここでよく遊んだんだよな。
メンバーは、幼馴染みの四人組。
途中から後輩も加わって5人になったけどな。
「なんで?」
「はい?」
美少女が俺を覗き込んだ。
近い!
近いって!
童貞舐めんなよ!
「俺、確か、さっきまで夜の、森の中に、いた?」
「はい」
美少女は頷いた。
「中田 セツさん。あなたは、お母様である中田 クレア様の手によって我がルージナルスへと送り込まれたのです。そして、そこで断罪されたり、オークの森に捨てられたりと、まあ、いろいろあった訳です」
オークの森?
記憶が鮮明によみがえり、俺は、頬がかぁっと火照ってくるのを感じていた。
あれは、全部、夢ってことでいいんですよね?
ただの、悪夢。
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