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第14話
2ー2 女神の加護
「違いますよ、セツさん」
美少女がにっこりと微笑みを浮かべた。
「これは、夢ではありません。すべてが現実に起こったことです。現に今、あなたの体内にはノイスジーラ王国の宰相であり賢者でもあるエイダス・フロウとあなたの子であり、未来の勇者である御子が宿っています」
はい?
俺は、深く深呼吸をした。
うん。
辺りは、静かでどこかで鳥の鳴き声が聞こえてくる。
清浄な空気が流れていて、俺は、しだいに心が清々しく落ち着いてくるのが感じられた。
多幸感。
心地よさに包まれて、俺は、今なら何でも許せそうな気がする。
俺は、美少女に向かって微笑んだ。
俺の落ち着いた様子を見て美少女もホッとした様子だった。
俺たちは、見つめ合って、そして、にっこりと微笑みあった。
そして。
「無理!」
俺は、きっぱりくっきりと答えた。
美少女は、とんでもない衝撃を受けた様子で俺に向かって叫んだ。
「嘘でしょ?無理だなんて!そんなの、困りますぅ!」
「何が、困りますぅ、だよっ!」
俺は、激昂した。
「俺、男なんだぞ!男!それなのに、それなのに、あんな、こと・・」
俺は、この24時間ほどの間に起きてしまったあんなことや、こんなことを思い出してぶわっと全身に震えが走るのを感じていた。
マジで!
おっさんにキスされたり、裸に剥かれて化け物の棲みかに放置されたり、挙げ句の果てに男同士で抜きっこ?
ありえねぇっ!
いや、それだけならまだましと言えるかもしれない。
「俺が、子供を身ごもってるだと?」
信じられない!
男なのに、妊娠?
俺は、頭を振った。
いや、いや、いや、そんなことありえないよな。
だって、俺、あのおっさんにはキスされただけだしな!
「キスで妊娠って、あり得ないだろうが!」
「いえ、大丈夫です」
俺の話をきいていた美少女がほっこりと笑った。
「ルージナルスでは、よくあることですから」
マジかっつうの!
俺は、魂のシャウトをした。
「んなわけねぇだろうがっ!!」
「いえ、マジですよ。大真面です」
美少女が拳を握りしめて力説した。
「ここルージナルスにおいては、女神の加護さえあれば何だってありですから」
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