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第21話

 3ー1 売られちゃいました。  そんなこんなで。  目覚めると俺は、なぜか、馬車に揺られていた。  しかも、裸で。  おまけに、ごつい首輪をされてるし、手枷と足枷つきだった。  なんで?  俺は、微かな記憶をたどり寄せていた。  確か、俺、オークの群れから助け出されて。  そして。  ロイは?  俺は、起き上がって辺りを見回した。  周囲には俺と同じように裸で首輪と枷をつけられた男たちがところ狭しと詰め込まれていた。  マジか?  おれは、辺りにいた男たちの顔を覗き込んでいった。  だが、ロイは、見つからなかった。  「あんた、恋人にでも売られたのか?」  突然、誰かが俺に話しかけてきたので俺は、その声の主の方を振り返った。  馬車の棲みにいぶし銀みたいな渋い顔をした小男のおっさんがいてにやにやと笑っていた。  「んなわけねぇし!」  「ならいいんだけどな」  小男は、にやりと笑った。  「さっきからあんたを見てるとなんか、そんな気がしてな」  「なっ!」  俺がそいつに文句を言おうとしたとき、不意に耳元で囁かれて俺は、言葉を飲んだ。  「セツさん」  フローディアか?  俺は、辺りをきょろきょろと見た。  「ここですよ、ここ」  はっと胸元を見るとそこには、小さな四角いロケットのようなペンダントがぶら下がっていた。  マジか?  超小型スマホ?  俺は、そっと銀色に輝くペンダントトップへと触れた。  なんで、俺は、ここにいるんだ?  「はい。いい質問です、セツさん」  フローディアの声が聞こえた。  「私たち、奴隷商に売られているとこナウです」  はい?  「あっ、正確には、セツさんが、ですけどね」  マジですか?  俺は、ぎゅっとペンダントを握りしめた。  いったい、なんで?  それに、ロイは?  「ああ、そのことですか」  にこやかにフローディアが答えた。  「セツさん、世の中には知らない方がいいこともあるんですよ?」  ええっ?  俺は、愕然とした。  もしかして、ほんとにロイに売り飛ばされちゃったの?  「いえ、そうではないんですけど」  フローディアが要領を得ないことをいうのを俺は、無視して俯いた。  ロイ。  オークから助けてくれていい人だと思っていたのに。  まあ、あんなことやこんなことをされちゃったけど。  でも、いい人だと信じてたのに!  

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