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第27話

 3ー7 ホームランですか?  グレイシアに出された服を身につけた俺を奴は、広くて豪奢な作りの応接室へと連れていった。  そこには、黒色ローブの大男とデブの奴隷商が待っていた。  「遅いぞ、グレイシア!」  「申し訳、あり、ません」  頭を下げるグレイシアを冷ややかに睨み付け奴隷商のオヤジは、きいた。  「で?この方にお仕えする従僕は?」  「まだ、用意、が、できてい、ません」  「なんだと!」  激昂した奴隷商のオヤジは、グレイシアを殴ろうとして手を振り上げた。  俺は、思わずグレイシアのことをかばっていた。  「やめろよ、おっさん!」  「何?」  奴隷商のおっさんの顔色がどす黒い赤に染まっていく。  「こいつめ、奴隷の分際で!」  奴隷商のオヤジは、俺をぶん殴ろうとしたが、それをワーウルフが制した。  「これは、もう私のもの、だ。少しでも傷つけたらお前を殺す!」  「しかし」  ワーウルフは、口をパクパクさせている奴隷商のオヤジを無視して俺に手招きをしてから、グレイシアに命じた。  「従僕の用意ができたら魔王連合ギルドの方へと連れてくるように。頼んだぞ、グレイシア」  俺は、ワーウルフの差し出した手をとった。  そのごつごつした掌は、暖かくってなんだか、異世界にいる俺の本当の親父を思い出させた。  ワーウルフは、俺を商館から連れ出すと玄関に待たせていた黒い漆塗りの美しい馬車へと乗るように命じた。  馬車の中にはシャンデリアがぶら下がっていて、赤いビロードの座面を照らしていた。  微かに甘い香りがしていた。  シャンデリアの蝋の香りのようだった。  本物の蝋燭だ。  俺は、少しだけ感動していた。  今時、本物の蜜蝋なんてすごい。  ワーウルフは、俺の前に腰を下ろすとローブを脱いで正体を明かした。  角がある。  俺は、怖いといいうより驚きで目を離すことができなくなっていた。  ワーウルフは、額に2本の捻れた美しい白銀色の角を持つ獅子の獣人だった。  その容姿は、恐ろしくもあったが、何より俺には美しく思われた。  「すまん。怖がらんでくれ」  ワーウルフは、俺に申し訳なさげに呟いた。  俺は、頭を振った。  「私が怖くはないのか?」  ワーウルフは、優しい目をしていた。彼は、口許を少しだけ歪めてみせた。  うん。  もしかして、笑ってる?  「私は、アザゼル・ワーウルフ。これから君が暮らすことになる魔王連合ギルドのギルド長をしている」  はい?  魔王連合ギルドですか?  ぎゅっと握りしめていた胸元の小型スマホがぶるぶるっと振動した。  「ほら!ヒットですよ、セツさん!いや、マジでホームランかも!」  

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