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第36話
4ー8 魔王決定!
アザゼルさんは、黙って俺の話をきいてくれていたけど、しばらくして俺に告げた。
「セツ君、まず君には、今身ごもっている子供を産んでもらうことになる。その子供が108人目の魔王となることは確定していることだからね」
それは、そうだよね。
俺は、ため息をついた。
「だが、そのためにも、我々は予定を変更せざるを得なくなった」
アザゼルさんは、俺を見つめた。目が。笑っている。
「君には、108番目の魔王になってもらうことになった」
はい?
俺は、ハトマメ状態だった。
なんですと?
「これは、魔王連合ギルドの決定事項だ。君には、できるだけはやく領地に赴いてもらいたい」
アザゼルさんは、少しだけ寂しげに思われた。
「これは、君のことを守るためでもある。我が魔王連合にも君を排除するべきだという者たちもいるし、何より、君を妊娠させた連中のこともある。君には、安心して出産して欲しいと思っているんでね」
「魔王って・・」
俺は、ようやく言葉を発することができた。
「俺、戦えないけど、いいんですか?」
「そのことは考えてみたんだが、ルシフェル様も補佐するといってくださっているし、ギルドからも人を派遣する。それに」
アザゼルさんが付け加えた。
「何人か戦闘奴隷を君の警護のために買い求めようと思っていいる」
マジですか?
俺がアザゼルさんをじっとうかがっていると、アザゼルさんが渋い顔をした。
「本当はずっと手元に置いて、私が君を守りたいんだが、そうするよりも君を魔王として扱うほうがよいだろうとルシフェル様が譲らなくってね」
俺は、複雑な気持ちだった。
俺、ますます本ルートからはずれてね?
「俺には、魔王なんて無理ですよ?」
俺が、ちらっとアザゼルさんの様子をうかがいながら尋ねるとアザゼルさんが答えた。
「大丈夫だ、セツ君。君は、何も心配しなくってもいい」
こうして俺が魔王候補生となることが決定した。
「よろしく頼むよ、セツ君」
アザゼルさんが愉快げに目を細めた。
「君には、もと108人目の魔王であり、うっかり1年ほど前に勇者に倒されてしまった魔王ラミエルの領地へ赴任してもらう。王都からはかなり離れた辺境の地だが、なかなかいいところだそうだからしっかりつとめてくれたまえ」
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