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第41話
5ー5 奴隷買いに行こう!
俺は、その日の昼からアザゼルさんと一緒に出かける予定だった。
というのも、俺の護衛のための戦闘奴隷を買いにあの奴隷商に行くことになっていたのだ。
前に、俺には護衛が必要だと言われたときには、てっきり冒険者ギルドに依頼するものとばかり思っていたのだが、アザゼルさんがいうには戦闘奴隷を購入した方がいいらしい。
「冒険者を雇う方が安いんじゃないですか?」
俺が行きの馬車の中で尋ねるとアザゼルさんが答えた。
「冒険者は、自分の命が危なくなると君を見捨てて逃げるかもしれない。我々に必要なのは命を捨てても君を守ってくれる兵隊だからね」
マジですか?
俺とアザゼルさんをあの奴隷商のおやじは満面の笑みで出迎えた。
「いらっしゃいませ、ワーウルフ様。
今日は、どのような奴隷をお探しで?」
「この子を守るための護衛が欲しくってね」
アザゼルさんがそう答えると奴隷商がにやりっと笑った。
「おまかせを、ワーウフル様。この奴隷商ガザックのところに来られればどんな用向きの奴隷でもご用意させていただきます」
ガザックは、俺とアザゼルさんを昨日の応接室へと通した。
俺たちは、しばらくの間、そこで待つことになった。
「どう、ぞ」
グレイシアがいい香りのするお茶を入れてくれた。
俺は、カップを受け取りながらあの3人のことを思い出していた。
最初、俺がアザゼルさんと奴隷商に戦闘奴隷を買いにいくことを知ると、自分達もつれていけとうるさかったのだが、また、後でゆっくり話そうと俺が言うと彼らは納得して魔王連合ギルドで待つことを了承した。
ほんとに。
俺は、くすっと笑った。
俺、てっきりあいつらに捨てられたんだと思ってたんだからな。
突然、いなくなりやがって。
バンドも急に解散しちゃったし。
俺は、目尻に滲んだ涙を瞬きして飛ばした。
ほんとに。
バカばっかりなんだから。
「セツ君?」
アザゼルさんがそっと俺の肩を抱いてくれた。
「大丈夫か?」
俺は、頭を振って見せると、こらえきれずににやにや笑っていた。
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