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第48話

 6ー2 一人立ちですか?  「ストップ!ストップ!」  俺は、魔王たちの間に割って入った。  「今夜は、新人の歓迎会なんだから、喧嘩しちゃだめだぞ!」  「セツ」  ロイが俺のことを抱きよせて顔を覗き込んできた。  「なんであの時、急にいなくなったんだ?朝起きたら姿が消えていたから心配したんだぞ」  「あの、それは」  俺は、慌ててロイの口を手でふさいだ。  「そのことは、後で、また、説明するから!」  「朝?」  天野くん、いや、ロスアンジールがいろめきだった。  「どういうことだよ?あんた、セツと何があったんだ?」  「それは」  「何にもないって!」  俺は、ロイの言葉を封じようとしたけど、ロイは、逆に俺のことをぎゅっと抱きよせてきた。  「ふわっ!」  「見ての通り、だ。これは、もう私のもの、だ。お前たちが手を出すことは許さん」  ロイにぎゅうぎゅう抱き締められて、俺は、なんとか逃れようともがいていたがダメだった。  「離して!ロイ!」  俺が頼んでもロイは、俺のことを離そうとはしなかった。  「お前は、もう私の番だ。離すことはできん」  はい?  その場がしんと水を打ったように静まり返った。  ええっ?  なんか、みんな目が怖いんですけど?  俺は、一触即発の状態をなんとかしてもらおうとアザゼルさんを見た。  アザゼルさんは、手にしていたワイングラスを握りしめていたが、みるみるうちにグラスにヒビが走りそれは砕け散った。  「お前たち、いい加減にしないか!セツ君が困っているだろうが!」  辺りが急に真冬のスケートリンクみたいに冷え込んできて、俺たちは、みな震え上がっていた。  アザゼルさん、こえぇっ!  「それより、セツ君。護衛用の戦闘奴隷は手に入ったが、これからどうするね?」  「はい?」  俺は、アザゼルさんのことをじっと見つめてからうつ向いた。  俺が無理やり意見を通して買った剣士はというと、食堂の隅っこの床の上に横になってイビキをかいていた。  「こいつ、役に立つのかよ?」  ダイナスがちっと舌打ちした。  「こんな奴隷買わなくたって、俺たちがお前を守ってやるのに」  「しかし、だ」  アザゼルさんが厳かに言った。  「セツ君は、108番目の魔王候補生として近いうちに一人立ちしてもらうことになってるからね」

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