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第69話
8ー1 スキル『ビッチ』?
俺は、白い上下のない空間を漂っていた。
ここは、どこだ?
俺は、はっとした。
よくある異世界ものにでてくる死後の世界?
俺、もしかして、今度こそ死んじゃったのか?
いや。
俺は、頭を振った。
まさかな。
だって、こんな死因恥ずかしすぎるだろうが!
魔王に抱かれて昇天ってか?
ありえない!
突然、あれが聞こえてきて俺は、びくっと体を固くしていた。
あれって、何かって?
あれは、あれだよ。
ほら、ゲームのときのレベルアップの音。
いきなり目の前が明るく輝いたかと思うとあの外見だけは美少女の最低女神フローディアが現れた。
なんで、いつも、セーラー服なわけ?
フローディアは、俺に厳かに告げた。
「おめでとうございます、セツさん。見事レベルアップです」
なんの?
俺は、嫌な予感中だった。
フローディアは、満面の笑みを浮かべて俺に宣言した。
「あなたに付与したスキル『ビッチ』のレベルが1から2に上がりました」
はい?
俺は、晴天の霹靂だった。
スキル『ビッチ』ですと?
「なんだよ?それは」
俺がきくと、女神は食いぎみに答えた。
「よくぞきいてくれました!」
フローディアが俺に答えた。
「このスキルは、この創生の女神である私がセツさんのために昼寝して考えたユニークスキルです!なんと、魔王を1人落とす度にレベルがアップしていきます。そして、『ビッチ』発動中のセツさんは無敵です」
なんじゃ、そりゃ?
俺は、女神にきいた。
「どう無敵になるんだよ?」
「それは、体を繋げた相手の持つスキルをレベルに応じてセツさんのものとして使用することができるようになるということです」
はい?
キョトンとしている俺に女神が説明した。
「ちなみにレベル1だとちょっとした魔法しか使えませんが、レベル2ならもう少し難しい魔法も使えるようになります。最高レベル108に達すれば宇宙だって創造できちゃいますよ!」
マジかよ?
俺は、かなり引いていた。
だが、俺と違って女神はすごくご機嫌だった。
「どうです?どんなスキルよりもあなたに相応しいスキルだと思いませんか?」
また、変なことを言い出したな!
俺は、フローディアを探るように見つめていた。フローディアは、天に向かって拳を突き上げた。
「めざせ!全魔王コンプリート!」
「誰が、だ!」
俺は、フローディアを回避のスキルでまた弾き飛ばしてやろうと振りかぶった。
しかし、女神はさっと素早く身をかわすと余裕の微笑みを浮かべた。
「大丈夫!そんな内気なセツさんのために『ビッチ』のスキルはセツさんが望まなくとも条件さえ揃えば自然と発動するようにしときましたから」
なんですと?
俺がハトマメで見つめる中、女神は言い放った。
「発動の条件は、2つ。セツさんが裸であることと、セツさんの側にハイスペックなスキル持ちがいること、です!
」
俺は、さっきのロイとのことを思い出していた。
俺は、裸で、ロイは最強の魔王だった。
「ということは、あれは、お前の仕業だってのか?」
俺が女神を睨み付けると女神は視線をそらした。
「スキル『ビッチ』は、魔王を魅了する力も持ってますから!」
女神は、チェシャ猫のように笑顔だけ残して消えていった。
「さあ、最強を目指して励んでくださいね、セツさん!」
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