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第71話

 8ー3 お気遣いなく!  獣たちの声に俺は、なんだか心が痛んだ。  なんだろう?  俺は、3匹の獣の方を見つめた。  お腹が空いてるんじゃありませんように!  俺は、ロイから体を押し離すとベッドから出た。  うん?  なぜだか、あんなことやらこんなことやらあった筈なのに、俺の体は、微かな赤い印とかの他には、さらさらで清潔そうだった。  もしかして誰かが拭き清めてくれたのか?  俺は、情交の跡の残った自分の体を目にして羞恥に頬が燃えるようだった。   俺、マジでロイとそういう関係になちゃったのかよ?  そそくさと服を身に付けている俺をロイは、黙ってじっと見つめていた。  というか、俺たちのいるこの空間をがりがりと齧っていた3匹の獣たちもじっと俺の着替えを見つめていた。   なんだろう?  俺は、シャツのボタンを閉じながらちらっと獣たちのことを見た。  そして、唐突にさっき見た夢の中であの女神界の問題児の言っていたことを思い出した。  スキル『ビッチ』?  なんていうあられもない名前のスキルなんだ!  俺は、はぁっとため息をついた。  こんな変なスキルいらねぇし!  俺は、はっとしてロイの方を見つめた。  もしかして俺がロイとこういう関係になったのも、このスキル『ビッチ』のせいなのか?  うん。  俺は、確信していた。  間違いない!  だって、俺は、ほんとはロリ眼鏡の巨乳お姉さん推しだから!  「どうしたんだ?セツ」  ロイも服を身に付けて俺の側へと歩み寄ってきた。  ううっ。  俺は、恥ずかしくって視線をそらした。  こういうときってどうすればいいわけ?  まあ、スキル発動の条件は、俺が裸であることと、魔王の存在とか言ってたよね?  なら、今は、大丈夫だな。  俺は、俺たちのいる場所を丸っと囲っているこの限りなく透明な障壁のようなものにそっと触れてみた。  障壁は、ダイヤのように堅固で何者もこれを破壊することはできなさそうに思われた。  「これ、ロイが?」  「いや、私の持っているスキのようだがこれは、私の力ではない」  ロイが俺に答えた。  「これを展開しているのは、たぶん、セツお前だ」  俺、ですと?  俺は、試しに障壁を取り除こうとした。  「消えろ!」  すると障壁は、消滅し、それと同時に3匹の獣たちが俺たちへと襲いかかってきた。  「ぎいやあぁぁあっ!」  殺される!  俺は、目を閉じた。  と。  次の瞬間には、俺は、ひょいっと猫に咥えられて連れ去られていた。  ま、待って!  俺は、ロイの方を振り返ろうとしたが猫は、すごいスピードで駆け出していた。  猫は、俺を魔王連合ギルド内の広い食堂へと運んでいくとそっと床の上に下ろして俺の全身をざらざらした舌で舐め始めた。  「痛いって!」  「何事だ?」  1人、食堂でお茶を飲んでいたらしいアザゼルさんが驚いて尋ねた。  猫は、知らん顔で俺を舐め続ける。  俺は、猫に舐められてびしょびしょになってひきつった笑みを浮かべた。  「なんとなく大丈夫ですからお気遣いなく!」

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