８ー４　全部嘘だったんですか？ 　「すまなかったな、貴様たち」 　ロイは、全然すまなさそうでない態度で謝った。 　俺は、ロイにボロボロにされて倒れているロスアンジールとダイナスに回復の術をかけながら2人に尋ねた。 　「なんで、こんなことしたんだ？」 　「だって」 　ダイナスが口を開いた。 　「セツが、ロイに犯されてたから」 　はい？ 　俺は、言いにくかったけど正直に話した。 　「あれは、その、合意の上なので」 　俺は、その場の重い空気に堪えきれず軽い気持ちできいた。 　「いつから見てたんだよ？」 　「ああ？」 　ロスアンジールが答えた。 　「お前が恥ずかしいからやめてって言ってたとこ辺りからかな」 　マジで？ 　俺は、衝撃を受けていた。 　ってことは、ほとんど全部かよ？ 　いやいやいや。 　俺は、頭を振った。 　そんなわけないじゃないか。 　だって、ロイもいたわけなんだしな。 　俺は、ロイの方をうかがった。 　「そんなわけが」 　「いや、気がついてた」 　ロイがあっさりと認めてくれた。 　「だが、セツが障壁をはっていたから平気だろうと思って」 　マジですか？ 　ってことは、あんなことやこんなことを俺がされてるのを幼馴染みの３人に目撃されてたってことですか？ 　いや、これ、死亡案件ですよね？ 　マジ、恥ずかしすぎて死ねる！ 　「でも、今となっては、セツの初めてが見れたことよかったと思ってる」 　ダイナスの言葉に、俺は、宇宙の果てまでひいていた。 　ロスアンジールも続ける。 　「ああ。俺たちの誰が１番最初にセツを手に入れても友情にヒビが入るからな」 　「だけど、セカンドバージンは、俺たちのものだからな」 　クライアムが背後から俺を抱き締めてきたのを、拳骨で殴りながら俺は、頬を熱くしていた。 　「何、言ってるの？お前ら」 　俺は、きっと３人を睨み付けた。 　「２回目なんてありえねぇし！」 　そう。 　俺は、決意していた。 　もう、俺は、誰にも体を許したりはしないのだ。 　一瞬。 　ほんの一瞬だけど、ほんとにロイのこと好きなのかもって思ってしまったけど、それもきっと勘違いにちがいない。 　全てはあの腐った女神の陰謀だったのだから。 　おれはぷいっと横を向くと冷たく言った。 　「傷が治ったならもう、出ていってくれ」 　俺は、その後に続けた。 　「ロイも、な」 　「セツ？」 　ロイが少し傷ついたような表情を浮かべたのを俺は、見た。 　だけど、俺は。 　「とにかく！全員、出ていってくれ！」 　俺の剣幕に恐れをなしたのか魔王たちは、全員部屋から出ていった。 　１人残されて俺は、広い部屋の真ん中にへたり込むと、いつしか、嗚咽を漏らしていた。 　「うっ・・っひぃっくっ・・」 　恋だと思っていたのに。 　愛かもしれないとも。 　だから。 　ロイに体を開いてしまった。 　それなのに。 　全部嘘だったのか？