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第93話
10ー4 抗えない
「これは、魔王連合ギルドの長よりの命ですが、私は、正直、従うべきか
悩んでいました」
そう、ラミーさんは、俺に打ち明けた。
アザゼルさんは、魔王の危機、つまり、この世界の危機について話し、その上でラミーさんに命じたのだという。
「魔王候補生であり、魔王にとっての聖母であるセツ・グレイアムを抱くように」
だが、ラミーさんは、会ったこともなかった俺を抱くことには疑問を感じていたらしい。
そうだよな。
俺は、頷いた。
普通は、そういう反応だよね。
俺は、ラミーさんとは、友達になれそうな気がしていた。
この人は、まっとうな人だ!
「しかし、あなたに会って私は、考えを改めました」
ラミーさんの言葉に俺は、顔をあげた。
あれ?
なんか、雲行きが怪しくなってきた?
ラミーさんは、俺に微笑みかけると告げた。
「私は、ラミー・ララミア個人としてあなたに興味を持ちました」
うん?
俺は、ラミーさんのことをじっと見つめた。
ラミーさんは、テーブル越しに俺の手をとるとそっと口づけした。
「んっ・・」
甘い感覚が俺の体を這い上がってくる。
ラミーさんが赤い舌先で俺の手のこうをぺろりと舐めた。
「私は、喜んでアザゼル殿の命に従うつもりです、セツさん」
なんですと?
俺は、奴隷紋を持たない。
だから、本当に嫌ならアザゼルさんに命じられても断ることができる。
だけど。
俺は、この数週間の間に、すっかりアザゼルさんに調教されていた。
主の命令は、絶対だ。
俺は、ほうっと熱い吐息をついた。
俺には、拒むことは許されない。
俺は、ラミーさんに頼んで風呂に入らせてもらうことにした。
せめて、人間らしくありたい。
俺は、ワチさんの用意してくれた風呂に浸かって目を閉じた。
すぐ隣の部屋では、ラミーさんが俺を待っている。
俺は風呂からあがると、ワチさんに頼んで人払いしてもらうことにした。
こんなこと、誰にも知られたくない。
特に、クーランドには。
彼には、知られたくなかった。
俺が魔王たちに抱かれてどんな風に乱れるかを。
「かしこまりました」
ワチさんは、頷いた。
「外のことはお気になさらずに任務に邁進してくださいませ、セツ様」
任務って。
俺は、ため息を漏らした。
俺、結局、性奴隷なんだな。
俺は、白いローブをまとうとラミーさんの待つ部屋の扉を開いた。
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