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第104話
11ー3 クダギツネ
仕方がないから、俺は、クダギツネのメサイアと主従契約を結ぶことにした。
メサイアは、ほくほくして嬉しげに俺に頭を下げた。
「ありがとうな、セツはん。これでクダギツネの一族が救われるわ」
「だけど、荒地の開拓はさせてもらうぞ、メサイア」
俺がいうとメサイアは、頷いた。
「わかっとります。うちらかて、好きであないな荒れ地に住んどるわけやあらへんし、どっちかいうと開拓してもろうた方がええし」
「それならいいけど、後で環境が悪くなったとか言っても知らないからな」
「それなら、うちらを町に受け入れてくれたらええんちゃうん?セツはん」
メサイアが囁いた。
「きっと、うちらのどっちにとってもええ話になるで、考えといてや」
「セツさん?」
「んっ・・」
俺は、ゆっくりと目覚めた。
そこは、森の中で。
俺は、目を擦りながら辺りを見回した。
うん?
夢、か?
マジで、ただの夢なんだよな?
「変なセツさんですね」
俺に声をかけていたスマホ女神は、クスクス笑った。
「まるで、狐につままれたよう」
はい?
俺は、じっとスマホ女神を見つめていた。
こいつが何か関わっている可能性は?
スマホ女神は、とぼけるように笑って俺を促した。
「早く行かないと、美味しいご飯にありつけませんよ、セツさん」
俺が火を囲んでいるみんなの所に顔を出すと、クーランドが椀にもったシチューを差し出した。
「食え、セツ。元気を出さないと生き残れないぞ!」
俺は、クーランドから椀を受け取るとそのごった煮的なシチューを食った。
なかなかの味だった。
「これ、なんの肉?」
「それは、珍しいんですけど」
ワチさんが嬉しそうに俺に話した。
「キツネです」
マジですか?
俺は、吹き出してしまった。
まさかだけど、あいつ?
俺は、心の中でそっと合掌した。
さようなら、メサイア。
俺たちは、お前のことを決して忘れない。
こうして、おいしく夕食を食った俺たちは、それぞれ火を囲んで休むことになった。
周囲には、魔物避けのお香とかを焚いた上に障壁も巡らされている。
俺たちは、火の番を1人だけ残して休むことにした。
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