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第106話

 11ー5 ロイ  俺たちは、3人、火を囲んでいた。  ルリの実が火にあぶられ弾ける音がする。  俺は、数個の焼けた実をグレイシアに渡されてはふはふしながら、食った。  ルリの実は、焼いたピーナツのような味と食感だった。  やめられない、止まらない、ていう感じだな。  「セツ、茶、だ。飲め。体が、温まる」  グレイシアが俺に熱いお茶を入れたカップを差し出した。  お茶は、温かくって甘い香りがした。  「アルバートの、言うこと、には、明日の昼過ぎ、頃には、町に、着く、らしい。そうしたら、少しは、休める、だろう」  俺は、ふぅふぅ、と湯気を吹いていたがぎゅっとカップを握りしめた。  「魔王ラミエルは、勇者に倒されたんだよな?」  「ああ」  グレイシアが頷いた。  「ノイスジーラの、勇者、クィンバス・アーガストの、手に、よって、殺され、た」  マジか?  俺は、顔を上げてグレイシアとクーランドのことを交互に見つめた。  「勇者は、俺を殺しにくるのか?」  「それは」  グレイシアが言葉を濁そうとしたのを、クーランドがキッパリと言い切った。  「例え来たとしても、俺がお前を守るし。お前は、心配せずにここを立派な、せめて税を納めるぐらいはできるような裕福な土地にしてくれよ」  「まあ、そうだな」  俺は、クーランドの言いように苦笑いした。  確かに。  それが先決だよな。  今のトリムナードには、金も力もなかった。  人は、大丈夫だろう。  グレイシアもいるし、アルバートおじさんもいる。近いうちに魔王連合ギルドからも誰か派遣されてくるらしいしな。  だけど。  俺は、魔王連合ギルドから派遣されてくる人に頼りきるようなことはしたくなかった。  俺たちが、彼らに作っていいのは、貸しだけ、だ。  「とにかく、荒れ地と森をなんとかする。そして、食料を作る。全ては、それからだ」  俺が言うと、スマホ女神が低く振動した。  「私も!私も、それがいいと思います、セツさん」  俺たちは、事前にこの土地で育てられそうな植物を調べて、その種やら苗やらを収納カバンに入れていた。  だけど、小麦は手に入れることが難しかった。  この世界では、小麦は金と同じ価値がある。  そのため、なかなか外の人にその種子を渡そうとはしない。  頼みの綱は、魔王連合ギルド関連だけだった。  ロイ。  俺は、ふと思い浮かんだ名に、ため息をついた。  あんな別れ方をしたんだし、もうロイからの支援がもらえるとは思えない。  「ロイザール、のこと、か?セツ」  グレイシアに訊ねられて、俺は、瞳が潤んだのを隠そうとした。  

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