108 / 167
第108話
11ー7 ご招待ですか?
俺たちは、賭けをすることになった。
俺たちがトリムナードに到着して1週間以内にロイからの支援物資が届くかどうか。
もちろん、俺は、届かない方に賭けた。
けれど、グレイシアは。
「1週間、どころか、もっと、はやく支援物資は、届くだろう、な」
はい?
俺は、グレイシアに宣言した。
「もし、そんなことがあれば、俺は、お前の望むことを何でもしてやるよ!」
「何でも、なんて、約束しない、方が、いいぞ、セツ」
グレイシアがにぃっと笑った。
「でないと、お前は、後悔、することに、なる」
翌日の午後には、俺たちは、トリムナード、唯一の町であるトリムへと到着した。
トリムは、思っていたよりもずっと小さな町だった。
そして、貧しい。
なんか。
行き交う人々の目は、光がなく、みな、絶望を抱えているようだった。
しかも。
男、男、男ばっかり?
女に1人も会うことがなかった。
なんで?
俺たちが魔王連合ギルドが用意してくれた家に到着して、なんとか清潔には保たれているらしいリビングのソファに腰かけて一息ついていると、客がやってきた。
それは、前領主である魔王ラミエルさんの遺児で今、代理でこの土地を治めてくれているストラファ・フォードくんだった。
ストラファくんは、まだ17才ぐらいの少年だった。
さらさらの金色の髪に、群青色の瞳の王道イケメンのストラファくんは、地味だが仕立てのいい服を身につけた、生真面目そうな少年だった。
あきらかに、ぽっと出の俺に疑問を持ちつつも、彼は、この地の人々のために俺に惜しみなく協力することを誓った。
その代わりに、引き続きこの土地に家族と住み続けたい、というのが彼の要求だった。
俺は、それを承知した。
俺の言葉を確かめると、ストラファくんは、ホッとした様子で微笑んだ。
まだ、子供じゃないか。
こんな子供が、こんな貧しい土地の行く末を背負ってきたなんて。
ストラファくんは、俺たちを夕食へと招いてくれた。
「まだ、荷もほどかれてないでしょうし、どうか、夕食は、私の家にお出でください」
ともだちにシェアしよう!