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第109話
11ー8 女のいない町
俺たちは、ストラファくんのご好意に甘えることにした。
俺たちは、町の外れにある旧領主邸まで歩いていくことにした。
夕方のこの時間だと言うのに、人々は、家に帰ろうともせずに道でたむろしてただこちらの様子を窺っていた。
うん。
やっぱ、気のせいじゃないよね?
この町には、女の人はいないのか?
それとも、何か、あるのかな?
俺の疑問に、ストラファくんが快く答えてくれた。
「この町には、女は、おりません。女は、金になりますから」
はい?
俺は、問いかけた。
「金になる?」
「悲しいことですが、男よりも女の方が金になるのは事実です。奴隷に売るにしても、その、そういうところに売るにしてもなんにせよ、女の方が高く売れます。それに、出稼ぎにでるものたちもおります。その結果、このトリムの町には男しか残っていないのです」
ストラファくんは、顔を曇らせた。
マジですか。
俺は、夕げ時なのにいい匂いの一つもしてこない通りに立って、周囲を見回した。
男たちは、目だけをぎょろぎょろさせてこちらを眺めている。
俺は、なんだか、恐ろしくなってきた。
女の人のいない町?
こんなの、滅びるしかないじゃん!
ストラファくんは、俺の肩にそっと触れて心配げに声をかけた。
「どうか、セツ様、お気をつけられてください。あなたの様に美しい方にとって、この町は、安全とは言いきれませんので」
なんか、さっきからじっと見つめられているような気がしてたんだけど、気のせいじゃないってことですか?
俺は、ぞっとしていた。
うぅっ!
俺のことを獣のような目で見つめている人々の視線が痛い。
これは、はやいとこ、どげんかせんと!
俺は、決意を新たにしていた。
とにかく、自分のためにも、どうにかしないとな!
「そういえば」
ストラファくんが朗らかな笑顔を浮かべて俺にきいた。
「ロイザール様をご存じですか?セツ様」
「ほえっ?」
俺は、驚きのあまり声がうらがえってしまった。
「ロ、ロイがどうかしたの?」
「実は」
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