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第113話
11ー12 秘密ですか?
「何でもいえ、セツ」
ロイが受け合った。
「お前が望むものは、なんでも揃えてやる」
「あっ!ずるい!」
メサイアが地団駄踏んだ。
「ちょっと権力があるからって!」
俺は、ロイにこれ以上のおねだりをしてくはなかった。
だって、もう十分すぎるものをロイには、もらってるからな。
だけど、俺の言葉を待っているロイをちらっと見て、俺は、思いきって切り出した。
「あの・・巨大な冷凍室が欲しいんだ」
「れいとうしつ?」
そこにいる全員がぽかん、とした。
「それは、何だ?」
アルバートおじさんに問われて、俺は、冷凍室の説明をした。
「つまり、冷却魔法で冷やした空間に生のままでは保存のきかない食べ物とかを冷凍して保存するんだ」
俺の話にアルバートおじさんとロイは、感心した様子で頷いた。
「それは、なかかな面白そうだが」
「そんな規模の冷却魔法を使える者なんて、アザゼルぐらいしか知らんが」
「魔王連合ギルドのギルド長なら、セツが頼めば嫌とは言わんだろう?」
「そうなんだけど」
俺は、口ごもった。
俺は、アザゼルさんから魔王の花嫁としての調教を受けて以来、あの人が苦手になっていた。
好きなんだけど、なんだか、苦手。
どうしたものか。
俺は、頭を悩ませていた。
「そんなら、ええ子がおるで、セツはん!」
メサイアが俺に飛び付いてきた。
「うちにまかせて!氷魔法の使い手やったら、うちの知り合いにちょうどエエのがおりまっせ!」
マジですか?
酔っぱらいメサイアは、けたけた笑いながら俺の背をどん、と叩いた。
「うちに任せとき!セツはん」
メサイアが夜空に向かって指笛を吹くと、1羽のカラスが飛んできてメサイアの腕にちょん、ととまった。
「ええか?マロ。ちょっと氷の悪魔を呼んできてや。ええか、即効な。もし、イヤやいうたら、お前の秘密を世界中にばらしたるいうんやで!わかったか?」
「カァ!」
メサイアが命じると、カラスは、空へと帰っていった。
秘密?
俺は、ちょっと首を傾げた。
カラスは、闇へと消え、すぐに、見えなくなった。
「これで、あいつ、慌てて飛んでくるはずやし。明日にはうちのとこに顔を出すやろ」
メサイアは、マハトのグラスを掲げるとにっと笑った。
「それまで、うちらは、酒盛りや!」
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