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第114話

 11ー13 夜明け  俺がやっとメサイアたちのもとを逃れて帰路へとついたのは、夜明け前のことだった。  昨夜のばか騒ぎは、すっかりおさまってぽつぽつと家路に帰る人々の姿が見えた。  俺も、自分の新しい家へと帰ろうと歩きだした。  「セツ!」  ロイが背後から俺を羽交い締めしてきたかと思ったらあっという間に子供みたいに抱き上げられていた。           「それっ!ロイ!めちゃびっくりしたよぉっ!」  俺は、ロイの腕の中にはすっぽりとおさまったまま、手足をばたつかせた。  「下ろせ!」  「だめだ」   俺の言葉に、ロイは、憮然として応じた。  「セツ、お前みたいな世間知らずがこんなとこを1人でふらふらしてたら何があるかもわからんぞ」  「心配しなくっても大丈夫だって。家に帰るだけだし」  俺がいうとアルバートおじさんまで、加わってきた。  「いや、危険だぞ、セツ」  はい?  アルバートおじさんは、今、禁酒中で酒は飲まずに俺と一緒に果実水を飲んでいたんだが、なぜか、頬が少し赤らんでいる。  「こんなところをお前のような者が1人でほろほろ歩いていたら、誰かに襲われないとも限らない」  「そんなわけ」  俺は、2人の俺に対する心配性っぷりにあきれていた。  「俺には、女神の加護があるし、誰も手出しなんてできっこないじゃん」  「「それは、ない!」」  結局、2人は、俺を家まで送ってくれた。  というか、ベッドの中までな。  ううっ。  ワチさんの生暖かい目がいたたまれない。  2人は、俺を部屋まで抱いていくと、そっと、ベッドに横たえてから、お互いに探り会うような様子で見つめあっていた。  「おじ上殿は、もう、部屋で休まれては?」  「いや、ロイザール様こそ、もう部屋でお休みになられた方が」  俺は、というと。  2人のやり取りをぼんやりときいていたんだが、しまいに眠くなってきて。  いつの間にか寝落ちしていた。  そして。  翌朝、目覚めると俺は、なぜか、裸だった。  なんで?  しかも、両側からアルバートおじさんとロイに抱き締められてるって?  いったい、どういうこと?  

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