117 / 167
第117話
12ー1 両翼の騎士団
「早急に大きな風呂を造らせよう」
風呂から上がった後、ロイが楽しげに呟くのにアルバートおじさんが頷く。
なんですと?
俺は、ぎょっとして2人の方を見た。
これからも、3人一緒に入るんですか?
俺が問いたげに見つめているのに気づくとロイは、爽やかイケメンスマイルを浮かべた。
「いや、俺たちだけじゃなく、もっと、こう、お前を愛するすべての人々と繋がりたい、というか」
「俺を愛するすべての人々と繋がってどうする気だよ」
「俺も、お前を守るための盾を造るぞ!」
ロイに対抗してかアルバートおじさんが力強く宣言した。
「俺には、お前のために風呂を造るような財力はない。だが、この地にお前を守るための盾となる最強の騎士団を作る!」
うん。
確かに、ここにも兵士の真似事をしている人たちもいるらしいし、ここは、王国的には、隣国と接している国境の領地だし間違えてはいないのかも。
でも。
俺は、いろいろ突っ込みたいことがたくさんあったけど堪えていた。
最強の騎士団って!
すると、今度は、ロイが告げた。
「では、私は、この地に最強の矛となるものを造ろう!」
ええっ!?
俺は、驚いていた。
ロイって、そういうタイプの人だったの?
俺は、盛り上がっている2人の横で必死に頭の中のそろばんを弾いていた。
そして。
「トリムナードの両翼の騎士団としてグッズ展開しよう!」
「「はい?」」
俺は、信じられないものを見るような2人の視線に堪えながら説明した。
「いや、2人の作る騎士団の運営費用の足しにしてもらおうかと思ってさ」
「なるほど」
ロイが感心したように頷いた。
「それは、いいかもしれんな」
「うん。悪くはない考えかもしれん」
アルバートおじさんもこの案が気に入ったようだった。
「いや、実際、騎士団を運営するるにはかなりの費用がかかるからな」
2人は、俺の頭をがしがしっと撫で回して微笑んだ。
「いいところに気がついてくれて、ありがとうな、セツ」
「さすがは、我々のセツ、だ」
ともだちにシェアしよう!