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第118話
12ー2 こういうのが好きだから!
俺は、食堂へと移動する前にそっと、グレイシアに今のこの領地の守護を担当している騎士の長を呼ぶように頼んだ。
それから、俺たちは、食堂に赴きそこに用意されていた朝食を食べた。
といっても、たいした品ではない。
昨日のマッドボアの肉の残りを野菜屑と煮たスープと固い釘を打てそうなパンだった。
スープは、そこが透けるほど薄いし、味もほぼなかった。
俺は、そこそこに朝食を切り上げると、執務室へと向かった。
そこには、メサイアが待っていた。
「セツはん!」
がしっとメサイアが俺に抱きついてくるのをいなしながら、俺は、きいた。
「朝から何の用だ?」
「ああん!セツはんのいけずぅ!」
メサイアが体をぷるぷるさせて俺に抗議する。
「いろいろ報告と、それに、セツはんのご要望の魔導師を届けに来たったんやで!」
そういうとメサイアは、隣に座っていた少年の首もとを掴んで引き寄せると、俺に差し出した。
「やめろ!離さんか!この女狐もどきが!」
メサイアに首根っこを押さえられて暴れている少年は、頬にうっすらと鱗があることに俺は、気づいた。
メサイアは、俺の足元へと少年を放り投げた。
「いてっ!」
放り投げられて尻餅をつき床の上に座り込んでいる少年の前に俺は、しゃがみ込んだ。
「君、もしかして竜人族の人?」
俺に問われても、少年は、口をポカンと開けてぼんやりとしたまま、返事もしない。
あれ?
俺は、少年の瞳を覗き込んだ。
青に金色の星の散った不思議な瞳だった。
白青色の美しい髪を肩までで揃えている少年は、まるで人形のように可愛らしかった。
「えっと、君」
「好きだ!結婚しよう!」
はいぃっ?
少年が急に立ち上がり俺の手を掴んで俺に迫ってきた。
「私の妃になってくれぬか?」
「へっ?」
俺がフリーズするのを見てメサイアがはいていた薄い草履を脱いでその子の頭を思い切り叩いた。
わぁっ!
痛そうだな!
俺は、うつ向いたままで動かなくなった少年にそっと訊ねた。
「あの・・大丈夫?」
「あっ・・はっ・・」
少年が息を乱して、ぽうっと朱に染まった顔を上げて俺を見つめた。
「もっと・・激しく、して・・」
なんだ?
俺がきょとんとしているとメサイアがけらけらと笑いだした。
「気にせんとき、セツはん。こいつは、こういうのが好きな変態やさかいに」
こういうのが好きって?
俺は、そっと少年の手に掴まれた手を引き抜いた。
「ところで、この子、誰?」
「ようきいてくれはった!」
メサイアがどや顔で俺を見上げた。
「セツはんが欲しい言うてはった氷系の魔導師や!ここで好きなようにつこうたって!」
はいぃっ?
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