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第119話
12ー3 無防備ですか?
俺たちは、執務室のソファに腰かけてグレイシアの届けてくれたお茶を飲みながら和やかに話した。
メサイアの連れてきた少年は、なんと青龍族の王、シャオルといった。
シャオルは、ぽぅっと頬を染めたまま俺に話した。
「いきなりすまなかったな、セツ殿。魔王たちの財産であるお主に、突然、プロポーズなどしてしまって困惑させてしまったな」
「別に」
俺は、手に持ったカップのお茶を啜った。
「かまやしないし」
「今度は、正式に魔王連合ギルドを通して、結婚を前提にお付き合いを申し込ましていただくから、ぜひ」
スパンっと乾いた音がして、また、メサイアがはいていた草履でシャオルの後頭部を叩いた。
シャオルの目がとろんと蕩けて、呼吸が荒くなってくる。
「ああっ!セツ殿!」
シャオルが俺の手をとりうっとりと見つめてくる。
「その美しい足で、どうか、私を踏んではくれまいか?」
はひっ?
俺は、思わず宇宙の果てまで引いていた。
こいつ、マジでヤバい奴だっ!
「さっさと本題に入りいな!」
メサイアに促されて、はっと俺は、気を取り直した。
「あの、氷魔法の使い手ときいてるんだけど、このトリムナードの領地に冷凍室を造りたいんだけど、力を貸してくれるかな?」
「もちろん、お貸しするとも!なんなら」
俺に迫ろうとするシャオルのことをメサイアがまた、頭を叩いた。
「はぅっ!」
呻くシャオルと俺は、シャオルのたっての希望で主従契約を結んだ。
「いつでも私を呼ぶがいい、セツ殿」
メサイアに引き摺られながら去っていくシャオルが叫んだ。
「特に、独り寝の寂しい夜には、ぐふぅっ!」
メサイアに殴られてぐったりしているシャオルをクダギツネたちが抱えて運んでいくのを俺は、苦笑しながら見送った。
それから俺は、しばらくの間、グレイシアと一緒に執務室で引き継ぎの書類やらなんやらを確認していた。
昼前に、一度、食堂にお茶をもらいに行くと、アルバートおじさんが巻きたばこを吹かしながらむすっとした表情で俺を見た。
「何?ロイは?」
「ロイなら荷物の確認をダイたちとしてる」
俺は、おじさんの隣の椅子に腰をおろした。
「どうしたんだよ、アルバートおじさん」
俺が訊ねると、おじさんは、不機嫌そうに答えた。
「お前な、ちょっと無防備すぎるぞ、セツ」
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