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第125話

 12ー9 魔力欠乏症  俺は、サボテンもどきの種をクーランドたちに渡すと、いったん、トリムの町へと戻った。  なんか、少し、体調が変だったからだ。  スマホ女神に相談したら、奴は、こういった。  「『魔力欠乏症』つまり、魔力切れですよ、セツさん」  奴は、俺にアドバイスした。  「可及的速やかに家に戻るべきです」  というわけで、俺は、最後の力で家へと転移した。  家の前に転移した俺は、不意に眩暈におそわれて倒れた。  「あぶない!」  たまたま通りかかったらしいロイが俺の体をぎゅっと抱き寄せた。  「どうしたんだ?セツ。体が冷えきっているぞ?」  「・・ロイ」  俺は、ロイの腕に抱かれてだんだん力が抜けてぐにゃりとなっていた。  体に力が入らない。  「たぶん、『まりょくけつぼうしょう』なんらしい・・」  俺は、なんとかそれだけロイに伝えたが、他には、何もいえなくなった。  「『魔力欠乏症』だって?」  ロイが俺をぎゅっと抱き締めて騒いでいる声が遠くに聞こえていた。  ああ。  何をそんなに騒いでいるんだろう。  俺は、ゆっくりと目を閉じていた。  もっと、静かにしてくれ。  俺を。  ゆっくり眠らせて。  なんだろう。  ふわふわして、暖かい。  まるで、天国にいるみたい。  俺は、ゆっくりと目を開いた。  「気がついたか?セツ」  「あれ?」  俺は、まだ、意識が朦朧としていた。  うん。  俺、たしか、マッドボアを育てるために牧場を造ろうと思って。  「なんで、ここにロイが?」  そのとき、俺は、はっと気づいた。  俺たちは、裸だった。  マジで?  恥ずかしい。  俺は、ロイの腕の中で体を捩って隠そうとした。  「やだっ・・見ないで・・」  「こらっ!大人しくしないか、セツ」  ロイが俺の背中に手を添えて俺の首もとへと顔を寄せた。  「じっとしてろ!」  「でも・・」  俺は、涙が溢れてくるのを堪えきれなかった。  「俺、汚ない」  「なんで?」  ロイが俺の首筋にキスをふらせた。  「お前のどこが汚ないんだ?セツ」  だって。  ロイは、知らないから。  俺は、泣きながら、熱にうかされるようにして、ロイに話した。  「俺、いっぱい、魔王と、寝た」  「ああ?」  ロイが俺の体を優しく擦りながらキスした。  舌を吸われて、俺は、息ができなくって。  飲み込めきれなかった唾液がつぅっと顎へと流れ落ちていくのを、ロイは、舌でぺろりと舐めとった。  「誰に、抱かれたって?」  「いっぱい。アザゼルさん、に、それに」  ロイは、俺の口をキスでふさいだ。  「んぅっ・・」  口腔を舌でたどられ、喉の奥まで味わわれて。  俺は、熱い吐息を漏らした。  「ロイ・・」  「これから、お前に俺たちの魔力を流し込む。魔力は、肌と肌をあわせることによって流し込むことができる。つまり、これから、お前を抱く」  「んんっ・・」  俺は、いやいやと頭を振った。  だけど、ロイは、俺に触れる手を緩めなかった。  「あと、お前の魔力量は、普通では考えられないほど多い。だから、今回は、お前のおじ上も手伝ってくれるとのことだ」  はい?  俺は、白濁している頭で考えた。  アルバートおじさんも?

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