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第133話
13ー3 治癒師
俺は、ミオに訊ねた。
「このような辺境の地にエルフの方々がどのようなご用でしょうか?」
「はっきり言いましょう」
ミオは、俺に答えた。
「我々エルフをこの地に受け入れては、もらえないだろうか?」
「はい?」
俺は、ハトマメだった。
エルフは、孤高の民であり、気ぐらいが高く、人とかかわり合うことなどないと聞いていた俺は、ミオの言葉に驚いていた。
「なんでエルフが、人の地に住みたがるわけ?」
「それは、セツ様、あなたがこの地にクダギツネを受け入れているからです」
ミオが俺に話した。
「我々は、クダギツネとは、長い付き合いですので」
マジですか?
ミオの一族は、トリムナードの東に広がる魔の森の民だった。
しかし、ここ最近、めっきりと増えた王都よりの冒険者によって森の均衡が崩され、以前より凶悪な魔物が増えてきているのだという。
「このままでは、我が一族は魔物の増加により、とても森に住み続けることはかなわない」
ミオは、俺に語った。
「それ故に、我々は、森を出てこのトリムナードの地に移住することを希望する」
「なるほど」
俺は、ミオに訊ねた。
「で?あんたたちを受け入れることで俺たちには何の得がある?」
「それは、エルフの知恵だ」
ミオが応じた。
「エルフには、人の知らぬ秘術の数々がある。それを我々は、提供しましょう」
ミオが言うには、医術の分野においてエルフは飛び抜けて高い技術をもっているのだという。
「医術、か」
俺は、考えていた。
確かに、医術は、このトリムナードに必要なものだった。
今、トリムナードには、医者はいない。
全ては、グレイシアの治癒魔法に頼りきりだった。
「わかった」
俺は、ミオに手を差し出して微笑んだ。
「このトリムナードの町は、あんたたちエルフを受け入れよう」
ミオは、ほっとした様子で俺の手をとった。
「決して、あなた方を後悔はさせはしない」
こうして、エルフとの和平を結び、トリムナードは、エルフを受け入れることとなった。
エルフは、数日のうちに町へと入ってきた。
俺は、彼らのために森の近くに集落を作った。
その方が、薬草やらの採集のためにも都合がよかったからだ。
そのエルフの村は、グリンナードと呼ばれるようになった。
エルフたちは、少し離れたトリム以外の町にもその診療所を作り、治癒師を派遣してくれたので怪我や病気のためにわざわざ教会を訪れなくてもよくなり、人々は、大変助かっていたし、グレイシアの負担も減ることになった。
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