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第139話

 13ー9 誘拐ですか?  「行方不明って!」  俺は、声を荒げた。  「どういうことだよ?」  「落ち着いてください、セツ様」  ミオは、ロイに羽交い締めにされている俺をなだめようとした。だけど、俺は、かぁっと頭に血が上ってしまって、誰の言葉も耳に入らなかった。  「どういうことだよ?俺の赤ちゃんは?どこなんだ?」  「セツ様、落ち着いて」  ミオは、俺に薬を飲ませようとした。  当然、俺は、拒んだが、ロイに無理やり口移しで薬を飲まされてしまった。  「んぐっ」  ロイの唇が離れる頃には、俺は、少しだけ落ち着いてきていた。  「いいか?セツ。よくきけ。俺たちの子供は、無事だ。ここにはいないが、ちゃんと元気で生きている」  ロイは、俺を腕の中に抱いたまま、囁くように話した。  俺は、ロイにあやされながら重くなる目蓋をこらえてロイの胸にしがみついていた。  「もし、赤ん坊にもしものことがあれば、俺は、俺は・・」  「ああ、わかっている」  ロイは、歌うように俺の耳元で呟いた。  「俺たちの赤ん坊は、すぐに戻ってくる。そしたら、3人でしばらくゆっくりとしよう。いや、アルバートも一緒に、4人で海辺の町にでも行こうじゃないか」  「うん」  俺は、うとうとと微睡みながら微笑んだ。  俺は、そのまま、ロイの腕の中で眠りについた。    どれぐらいの時間が過ぎたのか。  次に俺が目覚めたときにも、俺は、ロイの腕の中にいた。  「ロイ?」  「セツ、気がついたか?」  ロイのことをじっと見つめて俺は、問いかけた。  「俺たちの赤ちゃんに、何があったんだ?」  「セツ・・」  「お願い、きかせてくれ、ロイ」  俺の頼みにロイは、ゆっくりと口を開いた。  「あの後、お前の蘇生に回りの者が懸命になっている間、お前のメイドのワチが赤ん坊を世話してくれていた」  ロイは、言葉を切った。  俺は、ロイに続きを促した。  「それで?」  「ああ、騒ぎが一段落する頃、私たちが気づくとワチと赤ん坊が消えていた。今、アルバートが2人の行方を追っている」  「ワチさん、が?」  俺は、ロイを見上げた。  「ワチさんが一緒なのか?」  「たぶん、な」  ロイの言葉に俺は、ほっと吐息をついた。  「なら、きっと、大丈夫だな」  ワチさんなら、きっと、赤ん坊を守ってくれている。  

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