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第149話
14ー6 作戦は却下です!
スィラの作戦は、こうだった。
今夜、俺を自らの花嫁にしようとするエイダスに俺は、従順に従うふりをして様子を見て、魔力無効化の薬を飲ませる。
そして、ただの人となったエイダスをスィラと力をあわせて倒す。
「なんか、単純な作戦だな」
俺は、スィラに訊ねた。
「そんな作戦で大丈夫なのか?」
「大丈夫です、セツさん」
スィラは、力強く頷いた。
「エイダスは、俺の家族を人質にとっていますから、俺の裏切りはないと思っています。だから、その裏をかくのです」
ん?
俺は、なんか引っ掛かっていた。
「人質って?」
「エイダスは、俺を支配下に置くために俺の家族に従属の魔法をかけています。もしも、俺が裏切れば、家族は、自ら命を絶つことになるでしょう」
なんですと?
俺は、スィラに訊ねた。
「それじゃ、その作戦は、無理なんじゃね?」
「大丈夫です」
スィラがにっこりと微笑んだ。
「父も母も妹も、みな、こうなることもあると理解してくれているでしょうから」
はい?
俺は、慌ててスィラに言った。
「いやいやいや、ダメでしょ?そんな犠牲がある時点で間違えだから!」
「じゃあ、このままエイダスのものになるというんですか?セツさん」
いや。
俺は、ぶんぶん、と頭を振った。
「それもいやだ!」
「両方を得られる方法なんてないんですよ、セツさん」
スィラは、達観した様子だった。
「俺は、家族よりも、セツさんを守りたいんです。あなたを愛しているから」
はいぃっ?
さらっと告白されて、俺は、戸惑っていた。
いや。
重すぎだろうが!
家族を捨ててまで、俺を守りたいとかって、重すぎだよ!
「とうっ!」
俺は、スィラの頭に手を伸ばして軽くチョップした。
「おバカが!」
「セツさん?」
「そんな作戦で守られても、俺は、嬉しかないし!」
俺は、立ち上がると数歩その場を行ったりきたりした。
「とにかく、その作戦は、却下です!」
「しかし、そしたらセツさんが!」
「大丈夫だ。いや、大丈夫じゃないけど、まあ、なんとかなるさ」
俺は、顎に指先をあてて考え込んだ。
「それより、お前には、頼みたいことがある」
「なんです?セツさん」
訊ねるスィラに俺は、頼んだ。
「アルバートおじさんに協力してワチさんと彼女の連れている俺の子供を確保してもらいたい。エイダスよりも速く、な。そして、ロイとアザゼルさんにこのことを伝えて欲しい。特に、俺が事を荒立てたがってないと思っていることを伝えてくれ。頼む」
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